歩行速度と転倒の関係について

2025年9月25日 ブログ

こんにちは!東京都文京区本郷にある自費リハビリ施設 PNFリハビリセンターの松本 行希です。

「最近、歩くのが遅くなった気がする」など感じたことは無いでしょうか?

歩行速度は様々な要因により遅くなってしまいます。また、歩行速度が遅いとバランスを崩した時に1歩足を出せず、転倒に至ってしまう場合があるなど、歩行速度と転倒には関係があります!

本日は、歩行速度が遅くなってしまう原因や転倒との関係を研究報告のデータも交えながらお話していきます。

◆歩行速度はなぜ遅くなる?

1. 下肢筋力・筋パワーの低下

 加齢や怪我で筋量(特に下肢)が低下すると、歩幅や蹴り出しが小さくなり、結果的に歩行速度が落ちてしまいます

2. 関節可動域(特に足関節)の制限

 足関節の可動域制限は、歩幅減少→速度低下につながります

3. バランス機能・感覚入力の低下

 視覚・前庭・固有受容感覚の衰えや姿勢制御の低下があると、安定を保つために自然と速度を落とす傾向があります

4. 心理・行動的要因(転倒恐怖など)

 「転ぶのが怖い」という感情は、本人が意図的に歩行を遅くする原因になり得ます

5. 中枢(脳)や循環器・全身疾患の影響

 白質病変や認知機能低下、心疾患・呼吸機能低下など、複数システムの低下が歩行速度の低下と関連します

加齢だけでなく、怪我や病気、運動習慣の減少も上記要因を引き起こしてしまい、歩行速度の低下を招いてしまいます。

◆歩行速度が低下すると、なぜ転倒リスクが上がるのか?

転倒は「つまずいた時に一歩を出せるかどうか」が大きなポイントです。歩行速度が遅い方は、足を素早く前に出す「反応の速さ」が不足しやすいため、咄嗟の対応が難しくなります。

また、歩行がゆっくりになるとバランスを崩した時に体を支える余裕がなく、倒れやすくなってしまいます。

研究では 転倒時の速度が毎秒約0.8m より遅く転倒した人のほとんどがステップを出せなかったと報告されています。

◆最後に

歩行速度は「ただの速さ」ではなく、体の健康状態や転倒リスクを示す指標でもあります。

日常生活の中で「最近歩くのが遅くなったな」と感じることはありませんか?

もし思い当たる方は、筋力トレーニングやバランス練習、使い方の修正を図ることで改善が期待できます。

転倒は骨折や生活の質の低下につながる大きなリスクです。早めの予防と対策で、安心して歩ける生活を目指しましょう。

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